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岐阜薬科大学

イナミド(図1; 1)は求核炭素と求電子炭素を合わせ持つことで複雑な構造を一挙に構築可能であることから、天然物や医薬品合成におけるビルディングブロックとして有用です。このため、これまでに様々なイナミドの合成法が開発されてきましたが、多くの方法では強塩基や高温などの厳しい反応条件が用いられており、適用できる基質は比較的安定なものに限られていました(図1; a-c)。

本研究では、ジイナミドの末端アルキン選択的なクリック反応を経る合成後期官能基化戦略による新たなイナミド合成法を開発しました(図1; d)。クリック反応の代表である銅触媒を用いるアジドーアルキン環化付加反応(CuAAC)は、化学選択性が極めて高く、複雑な機能性分子由来のアジドを含め、幅広い基質適応範囲を持つため、本合成手法の確立により多彩な機能性分子を持つ新規イナミドの合成が可能になりました。

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本合成法の実現のためには、超えなくてはならない課題があり、その一つがジイナミドの簡便な合成法の確立です。本課題は、求電子的アルキニル化剤であるジイニルベンズヨードキソロン(図2; 3: TIPS-diyne-BX)を開発し、銅触媒による求電子的ジイニル化反応の条件検討を行うことで解決し、温和な条件で様々なジイナミド4を合成できるようになりました(図2)。

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4aの脱保護反応により、末端ジイナミド(図3; 5)を合成した後、CuAACの条件検討を行うことで、無水条件でのCuAACが本反応に適していることを見出しました。最適な条件でクリック反応を行ったところ、蛍光物質であるピレン、アミノ酸、アミノ糖、ヌクレオシドなどを有するイナミド類を良好な収率で得ることに成功しました(図3)。

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合成した機能性分子を持つイナミド類を既存のイナミドの化学に適用することで、機能性分子を持つ分子群の合成が可能となり、医薬品や農薬などの機能性分子の開発に寄与できると考えられます。また、今回開発した合成後期官能基化戦略による高反応性分子の合成手法を応用することで、これまで誰も手にしていない様々な機能性分子を持つ反応剤を開拓できると考えられます。

本研究は、JSPS科研費(Grant Number, 19K06977, 22K06530)、小川科学技術財団研究助成、ヨウ素学会ヨウ素研究助成などの支援を受けて行われたものです。

本研究成果は、岐阜薬科大学合成薬品製造学研究室の川上諒平、臼井傑、多田教浩講師、伊藤彰近教授らの研究であり、イギリス化学会誌「Chemical Communications」に公開されました。(https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2023/cc/d2cc05575a)

本研究成果のポイント

  • シリル基で保護したジイニル超原子価ヨウ素反応剤を開発し、温和な条件での銅触媒を用いる求電子的ジイニル化反応を見出した。
  • ジイナミドを用いる新たな合成経路を確立することで、様々な機能性分子を持つイナミド類の合成が可能になった。

論文情報

  • 雑誌名:Chemical Communications
  • 論文名:Late-stage diversification strategy for synthesizing ynamides through copper-catalyzed diynylation and azide-alkyne cycloaddition
  • 著者:Ryohei Kawakami, Suguru Usui, Norihiro Tada*, Akichika Itoh*
  • 巻号59巻、4号
  • ページ450-453
  • DOI番号10.1039/D2CC05575A

研究室HP

https://www.gifu-pu.ac.jp/lab/gousei/