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概要

ヘムは鉄イオンとプロトポルフィリンの複合体であり、動物、植物、細菌に至るほぼすべての生物が体内に保有する、生命にとって重要な生体分子です。我々の体内では、酸素の運搬やミトコンドリアでのエネルギー産生にヘムが必須であり、ヘムが無いと生きていけません。さらに、体内では(タンパク質に結合していない)遊離ヘムの濃度変動がいろいろな細胞機能や生体機能の原動力になっているため、遊離ヘムの濃度異常、ヘムの合成?分解経路の異常が種々の疾病につながることも示唆されています。しかしながら、生きた細胞内でこうしたヘムの濃度変動を観察する方法はほぼ皆無という状況です。

そこで、当研究室でこれまで開発してきた鉄(II)イオンを検出する技術を応用して、ヘムを選択的に検出できる蛍光プローブH-FluNoxを開発しました。ヘム検出の鍵はジフルオロピペリジンN-オキシド構造(図1a)で、この構造を見出したことでヘムの高感度?高選択的な検出が可能になりました。図1bに示すように、H-FluNoxにヘムを添加すると、蛍光強度が10分以内に200倍を超えました。また、細胞内には遊離ヘムは数nM程度と言われていますが、このプローブの検出限界は100 pMであり、細胞内の遊離ヘム検出にも利用できることがわかりました。この感度?選択性は現在世界最高性能です。

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次に生細胞内のヘム検出に応用したところ、 ヘムの生合成原料である5-アミノレブリン酸(ALA)とクエン酸鉄アンモニウム(FAC)を投与した細胞にて蛍光シグナルが観察されました。またヘムの合成阻害として知られるスクシニルアセトン(SA)を用いた場合には蛍光シグナルが見られなかったことから、生きた細胞でもヘムを検出できることがわかりました。本発表論文中では他にも、NO(一酸化窒素)によるヘムの遊離、グアニン4重鎖のヘムプールとしての機能、薬物排出タンパク質がヘムトランスポーターとして機能すること、フェロトーシスにおけるヘムの増大等、様々な生理刺激によるヘムの変動について報告しています。ヘムは人間だけでなく他の動物、植物、菌類に至るいろんな生命体が利用しているので、本プローブが幅広い領域に貢献することが期待できます。

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本研究成果は、岐阜薬科薬化学研究室の河合寛太氏(天下足球网_360足球直播-体育官网5回生)、今井遥氏(研究生(当時))、平山祐准教授、永澤秀子教授、薬物治療学研究室の村上貴規氏(天下足球网_360足球直播-体育官网5回生)、位田雅俊教授、保住功教授らの共同研究であり、アメリカ化学会誌「Journal of the American Chemical Society」に公開され、表紙として選ばれました。

本研究成果のポイント

細胞内遊離ヘムを高感度?高選択的に可視化するツールの開発に成功したのは世界初である。本プローブは病理学、生理学、植物生物学、細菌学など幅広い領域におけるヘム研究への応用が期待できる。

論文情報

  • 雑誌名:Journal of the American Chemical Society
  • 論文名:Molecular Imaging of Labile Heme in Living Cells Using a Small Molecule Fluorescent Probe
  • 著者:Kanta Kawai, Tasuku Hirayama,* Haruka Imai, Takanori Murakami, Masatoshi Inden, Isao Hozumi, Hideko Nagasawa
  • DOI番号10.1021/jacs.1c08485

研究室HP

https://yakka-gifu-pu.jp